玄関というネーミングをしたのは誰?
ふと考えると、家の中には「なんでこの名前なの?」と思うものがあります。
「玄関」もそのひとつ。
「関」 は関所の 「関」かなと、なんとなくわかる気もしますが、
はて 「玄」 の意味は?
と考えるとわからなくなります。
実は入り口を「玄関」とネーミングした人がいたのです。
鎌倉時代の禅僧の栄西(臨済宗を開いた人)です。
栄西は京都東山に建仁寺を建立したときに、僧院の門を 「玄関」 と名付けました。
「玄」 は奥深いと言う意味
「関」 は入り口のこと。
「幽玄な僧坊の関門」つまり「お寺に付属している、僧とその家族が住む家への奥深い入り口」
という意味だそうです。
何気なく出入りしていますが、もともとはたいぞうな意味を持っていたのです。
●玄関はもともと客用の出入り口
明治・大正や昭和初期のころの映像には、学校から帰った子供は勝手口から家に入っていくシーンに出会います。
なぜ勝手口から入るのでしょう?
「玄関」というネーミングは はじめのうちは、禅寺の書院の入り口、本堂の昇降口の意味に使われていましたが、
江戸時代になって普通の家にも使われるようになりました。
でも、もともとたいへんな意味を持った入り口ですから、当時の玄関はあくまでも正式な客を迎えるための格式のある出入り口で、家族が普段出入りするのは内玄関や勝手口を利用していました。
昭和になっても旧家では、御用聞きなどは玄関ではなく、勝手口を利用したものです。
●本来玄関は内開き?外開き?
外国の映画を見ていると、玄関ドアを内側に開けて屋内に入ります。
でも、日本ではほとんどが外開き。
なぜでしょう??
日本では昔は、横に開ける引き違いの戸でした。
しかし、鍵のかけやすさやマンションなどの影響もあって、ほとんどがドア形式の玄関になってきました。
玄関はお客様を招き入れるところですから、内開きが本来の姿。
しかし日本では玄関で靴を脱ぐため、内開きにすると靴に当たってしまいます。
そこで、よほど広い玄関でない場合は 外開きにしています。
靴を脱ぐ、脱がないの差が玄関の開き方の差になっているのです。
防犯の面から考えると、内開きが有利ですし、雨仕舞い(雨が入らないようにする施工)を考えると外開きが有利とそれぞれに一長一短があります。