上にあるのに、なぜ屋「根」というのでしょう?
「根」は根っこですから、どう考えても下のほうにあるものです。
すれが家の上にある「屋根」に使われるのは変な感じです。
「根」は当て字でして、日本の古い言葉では「ネ」という音は
てっぺんや、頂きを示す音。
峰のネや、「高嶺の花」のネと同じです。
なので、屋(家)のてっぺんという意味で、ヤネと呼ばれたのです。
●棟が集まるから寄棟
棟というと、切妻屋根の棟を思い浮かべてしまいますが、
実は屋根が合わさって尖っているところが棟。
その棟が四方から寄ってくる形だから「寄棟」という名称なのです。
寄棟
●屋根にはなぜ「妻」がいるのか?
「切妻」は「妻を切る」と書きます。
ぶっそうなネーミングですね。
あのスッキリした屋根の形が、なんでこんな名前なのでしょう?
実は「ツマ」とは奥さんのことではなく、「端っこ」を意味していたのです。
着物のツマ(褄)、とどのツマリ(詰まり)、刺身のツマ、指のツメ(爪)なども
端の部分を意味するツマから生まれています。
ですから、棟の両端をスパッと切ったような形という意味なのです。
切妻
●ケラバは何の意味?
切妻で妻側の壁から出っ張った部分がケラバ。
カタカナで書くと なんだか外来語のようですが、
和風の屋根の一部が外来語であるはずがありません。
漢字で書くと、螻羽(けらば)。
螻(ケラ)というのは土の中にいる小さな虫。
「すってんてんにオケラになった」
というときに使われます。
ケラは、ほんのおまけのような小さい羽根しか持っていないので、
ほんのわずか出っ張っていて、ほとんどないようなケラバを
オケラの羽根に例えたようです。
●大切なものだから棟(ムネ)と呼ばれます。
棟、胸、宗、この3つの字には共通点があります。
何でしょう?
答えは「ムネ」という読み方。
胸も宗も大事な部分。そう「ムネ」という音は、古い日本語では「大切な部分」を示しました。
棟も屋根の大切な部分という意味で「ムネ」と名づけられたのです。
ちなみに研究棟や病棟のように、棟の長い建物も棟(とう)で表します。